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美味しいお燗酒と出会うために、知っておくべきこと その1

〜飲むなら“純米酒”〜

Toru Sakazaki

Author坂嵜 透

とにかく日本酒は温めて(お燗で)飲んでほしいというのが私の主張ですが、「じゃあ、どんなお酒でも温めればいいのか?」と言われると違います。いえ、むしろお燗にして美味しくなるお酒は全体では少数派。冷やして飲むことを前提に造られたお酒がマーケットの主流なのです。つまり冷やして飲むお酒の方が、一般の日本人にはずっと人気があるのです。

これは「鑑評会」という酒造コンテストの評価基準に関係があると私は考えています。「鑑評会」の審査では、もちろんお燗などしませんし、雑味のなさ、色の透明度などに加え、近年では香りの華やかさが重視される傾向にあります。そういうお酒は優れた製品には違いありませんが、実際に飲むためのお酒としての評価とは別物です。それでも「鑑評会」で受賞することは造り手にとっては栄誉ですし、消費者も権威に認められたお酒を尊びます。鑑評会での評価は、お酒の優劣を決めるものではありませんが、そういう誤解が日本人の間にもまかり通っています。実を言うと、権威やブランドが、日本人は大好きなのです。

本題に入ります。お燗にどんなお酒が向くかというと、「良質な純米酒」です。「良質」の定義をここで説明することは難しいので、まずは「純米」というキーワードを覚えておいてください。お米以外の原料が使われていないお酒のことです。では、お米以外の原料とは何かというと、醸造アルコールです。醸造アルコールを使ったお酒にも良いお酒は多数ありますし、中にはお燗して美味しいものもあります。ただ、醸造アルコールは基本的に無味無臭ですから、冷やして飲むことを前提とした、すっきりしたお酒を造るには向いているのですが、温めたときにアルコール臭が強調されて飲みにくくなる傾向があります。実際、そういう経験から燗酒が嫌いになる日本人が多いのです。

お燗にする最大の意義は、お酒に溶け込んでいる“お米の旨みを膨らませること”。醸造アルコールは必要ありません。だから、まずは「純米酒」なのです。

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